1998年 あのニュー・シネマ・パラダイスのジュゼッペ・トルナトーレ監督。主演はティム・ロス。

当時は主人公の気持ちがよくわからないことで、消化不良の思いもありました。しかし20年後に観たら、それはそれでいいのだと気づきました。人の心に100%同調できるなんて、現実にはありえないことですから。

理解はできなくとも、他人の気持ちを汲むことができるようになった。名画はそんなことも教えてくれるのです。

あらすじ

1900年。豪華客船ヴァージニアン号の機関士ダニーは、ダンスホールのピアノの上に置き去りにされた赤ん坊を見つけ、その子に「ナインティーン・ハンドレッド」と名付けて育て始める。

船という揺りかごですくすくと成長したナインティーン・ハンドレッド。ある晩、乗客たちは世にも美しいピアノの旋律を耳にする。

ダンスホールのピアノに座って弾いていたのは、ナインティーン・ハンドレッド(ティム・ロス)だった。映画.com

感想

ティム・ロス。レザボアドッグスで一躍脚光を浴びた名優。20年前、その演技、存在そのものが実に格好良かった。

98年の彼はまだ若さも残しつつ円熟した演技で、この難役ともいえるキャラクターを巧みに表現しました。

派手さは無く、ずば抜けたハンサムでもないのですが、私はこんな素晴らしい俳優さんはそういないと思っています。この映画の成功は彼以外では考えられないとさえ思います。

さて、この映画。実話ではないかと言われますが違うようです。それでも「海の上の・・」という邦題は英題のThe Legend of 1900よりもロマンチックで素敵です。「船の上の」ではなく「海の上の」にしたのは断然いい。

それとエンニオ・モリコーネの音楽の数々が素晴らしすぎて感動します。主人公1900(そういう名前なのです)が即興で生み出す美しいピアノの調べが、こんなにも作品の深みを増すものかと。

さらに廃船を使った船のシーンも実にリアルですごい。海は美しく映し出され、そして唯一のヒロインのシーンも描写が繊細で印象的でした。

ストーリー、主演俳優、音楽。映画作品が必要とする条件をほとんど満たしたこの作品。

私なんかが感想を述べるのはおこがましいとさえ思ってしまうのですが、言わせていただくならば、

やっぱり名作は名作です、何年たっても。