2007年 行定勲監督。ロケ地は京都ですが、だれも京都弁をしゃべりません。
クローズド・ノート
あらすじ
趣のあるアパートに引っ越してきた大学生の香恵(沢尻エリカ)は、戸棚の中に前の住人が残していった、日記のノートを見つける。
ちょっと覗いてみるつもりで読み始めたが、小学校の女教員の伊吹(竹内結子)が綴る日記は、教師として真摯に児童に向かい合い、心を込めて接している様子が伺えた。
もともと教師を目指している香恵は、ノートに綴られる言葉に感銘を受けていく。
そんなある日、香恵のバイト先の万年筆屋にイラストレーターのリョウ(伊勢谷友介)が書きやすい万年筆をさがしに来る。
アパートの周りをうろついていたことで、香恵はリョウを憶えていた。その後偶然再会し、次第に香恵はリョウに惹かれるようになる。しかしリョウにはある秘密があった。
アパートの前の住人の伊吹はリョウが思い続けている女性だった・・。
感想
実はこのリョウが伊吹を思っている・・ということが、この映画の最大の秘密だったのですが、ネタバレするまでもなく、最初からバレバレなので、もうあらすじで書いちゃいました。
沢尻エリカが、例の「別に・・」騒動を起こした映画として有名ですが、作品自体は静かで癒される映画です。
ノートに書かれた伊吹のストーリーが、現在の香恵のストーリーに挿入されます。京都の町の古い素敵な建物、南禅寺や哲学の道がふんだんに出てきて、京都好きな人にはたまらないです。
沢尻エリカがまだ初々しい頃で、それだけでもレアな映像と言えるでしょう。しかしエリカのファッションはいただけない。もっと彼女の若く透き通った魅力を引き出せる洋服と靴があったはず。
竹内結子の衣装は非常に良かったのに、残念。あれでは竹内結子が良かった、という印象しか残りません。
また映画の脚本が「なぜ、そうする?」「なぜ、そんなこと言うの?」と思ってしまう箇所がいっぱいあって、どうしても納得できません。たしかに実際には人は支離滅裂なことをするものですが。
人間をそのまま描いたら理屈では理解できないストーリーとなる、それが日本映画の特色で魅力ですが、この映画は理解できないどころではありません。
人の思いはままならぬものですけど、主人公が成長し前を向いて終わるという展開に無理がありすぎ。
ラストシーンの沢尻エリカの表情が素晴らしく良かったのに、盛り上げすぎの音楽も相まって、「ああ、惜しい」という感想のみが残ってしまいました。