2019年 絶海の孤島の灯台で、ほぼ2人だけの芝居に圧倒される。灯台を見るたび思い出しそうです。
あらすじ
ニューイングランドの孤島に2人の灯台守がやって来た。
ベテランのトーマス・ウェイク(ウイレム・デフォー)と未経験の若者イーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)。
2人は初日から喧嘩になるが、そんなときに島に嵐が訪れる・・
感想
鬼才と言われるロバート・エガース監督。またやってくれましたと言いたい作品。
ウイレム・デフォーはどんな怪演をするのかなんとなく想像がつきましたが、ロバート・パティンソン、必死で食らいついています。
男2人のガチの演技勝負。ストーリーも2人の感情の絡み合いが見どころです。
神話のメタファーとかいろいろ考察されていますが、この映画のみどころはそういうなぜそうなったかや起承転結の解き明かしではなく、孤島の灯台の2人の男を観る、そのことだけなのだと思います。
もっと言えば、冒頭の、島に2人の男が船で着いたときの、不穏な暗い画。これがこの映画の総てです。あとはこまごまとした男たちの感情の移り変わりをなでるように沿って行くだけ。
そしてすっくとそびえる灯台の明々しい灯りの火。狂ったようにみえる男たちがもとめた火がクライマックスを高らかに仕上げます。
モノクロの、しかし光と影がくっきりと私たちの心に残るこの作品。BGMの船の汽笛がよりいっそう胸騒ぎを呼び起こします。
この閉ざされた絶望感の世界に浸りたい方、そういうときもありますよね。逆に元気になるかもしれないので一度観てみてください。