2018年 原題:The Keeper 元ナチス兵からイギリスで伝説のキーパーとなったバート・トラウトマンの実話をもとにしています。

あらすじ

1945年、イギリスの捕虜となったナチス兵トラウトマン(ダフィット・クロス)は、収容所でサッカーをしていた折に地元チームの監督にスカウトされる。

その後、名門サッカークラブのマンチェスター・シティFCにゴールキーパーとして入団するが、元ナチス兵という経歴から想像を絶する誹謗中傷を浴びせられてしまう。

それでもトラウトマンはゴールを守り抜き、やがてイギリスの国民的英雄として敬愛されるように。そんな彼には、誰にも打ち明けられない、秘密の過去があった。

感想

1950年代のイギリスはまだ元ナチスを受け入れるという土壌はできていなかったと想像できますが、スポーツというのはそういう壁も超えてしまうのですね。

主役のダフィット・クロスは「愛を読む人」や「戦火の馬」で印象的だった俳優さん。いろいろな苦悩を抱えるには少し若すぎるかな、とも思いましたが、まずはハンサムですし試合のシーンでの動きがよかったのでプラスマイナス0で・・。

トラウトマンがイギリス国民に受け入れられ絶賛されるまでの下りは、当然感動し留飲が下がる思いでしたが、それはたぶん「この映画は事実に基づいている」ということが、感動を後押ししていたように感じます。

私生活では最初の奥さんとは別れ、亡くなるときは3人めの奥さんだったトラウトマン。そのあたりが映画ではまったく触れていないので、どこで物語を閉めくくるべきだったのかなあ、と考えてしまいました。

こういうところは実話の映画化の難しさかなと思います。

映画はサッカーを通じて人々が戦争のわだかまりを捨ててドイツ人の選手を応援するさまに焦点が当たり、いわゆる感動作となっているわけですが、果たしてそれだけで良かったのでしょうか。

戦争にはいろいろな面があり、ひとりひとり悲しみがあり、心の傷があるもの。それを美しい感動作とだけに仕上げたことは、スポーツがツールになっているので我々が受け入れやすいとはいえいわゆる「単調な映画」になってしまっているのではないかという感想を持ちました。

1人の偉大な人の、人生のどこを切り取るか。どの面から切り取るか。このことを、万人に喜ばれるようにしなくてもよかったような気がします。