2022年 マリリン・モンローという不世出のスターを描いた映画にしては破綻しすぎています。
あらすじ
幼少期に母親が精神疾患で入院し、孤児院に預けられたノーマ・ジーン。成長して女優マリリン・モンロー(アナ・デ・アルマス)となった。
やがて世界的な大スターへの道を駆け上るが、私生活では不幸なできごとが続き、やがてマリリンは薬物を常用するようになる・・
感想
世界中で評判が悪いようですが、それも納得できます。
事実と確認できていないことが出てくる、というのみならず、全体に無意味な画像装飾が気持ち悪く感じてしまう映画。
モンローの生い立ちや結婚生活、どのように活躍したかは世界中の人が知っていること。
それでもなお、あのような作品をつくったという、その勇気は認めますが、良い評価をすることはできません。
マリリン・モンローが「なぜ死に至ったのか」という過程を、彼女のアブノーマルな一面だけをクローズアップし、映像にして見せたわけですが、納得するどころか「これは全く違うな」と思うばかり。
モンローを演じた、アナ・デ・アルマスの体当たりの妖艶な演技については、ビジュアルもモンローにそっくりで、すごい女優魂だなとは思いましたが、少々頭の悪い人に見えてしまい残念。
モンローの視点で描かれる世界は、終始、酔っぱらった人の視界のように尋常ではありません。
実際、酔ってしまう寸前でした。何事も、行き過ぎは良くないというもの。
監督にはいろんな思いがあってのことでしょうが、大衆が楽しみに観る映画は、心地よいものではないといけないという前提条件があると思います。
(爆破も流血も、おそらくある程度は心地よいものなのでしょう)
ただ、この映画を観て心に沸いた思いは、「ほんとうはモンローとはどんな偉大な人だったのだろう・・」というものでした。
ビジュアルがいかによく似ていても、まったく実際とは違うだろうなと思わせるこの映画のモンロー。
ほんとうの姿を知ってみたいという思いが湧いて終わったのは、ひょっとして作り手の狙いだったとしたら、そりゃかなり手が込んでいます。