2009年 監督:ドゥニ・ヴィルヌーブ 原題:Polytechnique(理工科学校) モノクロで描かれているため感覚が研ぎ澄まされたような世界に迷い込む。さらに、暴力に正義は無いとわかっていても、モノクロの画面は美しく見える。

あらすじ

1989年12月6日、モントリオール理工科大学に通う女子学生バレリーと友人の男子学生ジャン=フランソワは、いつも通りの1日を送っていた。

しかし突然、1人の男子学生がライフル銃を携えて構内に乱入し、女子学生だけを狙って次々と発砲を開始。犯人は14人もの女子学生を殺害し、自らも命を断つ。

バレリーは重傷を負ったものの何とか生還し、ジャン=フランソワは負傷した女子学生を救う。それぞれ心に深い傷を負った2人は、その後も続く非日常の中で苦悩にさいなまれるが……。映画com.

感想

この事件は1989年12月にモントリオール理工科大学で実際に起きた事件から着想を得ていますが、登場人物についてはフィクションです。

冒頭から銃声によって日常の風景が壊される。観客をいっきに画面に引き付けていきます。

この作品、力作の「灼熱の魂」の前年に作られていますが、ヴィルヌーブ監督の若いほとばしるものを感じます。

犯人(殺人者としかクレジットされていない)についてはあまり深堀りされず、女性蔑視がつのっていたとだけ表現されています。

ただ犯行前にきちんと部屋を片付けるなど几帳面なところがあると描かれています。

つまり、事件は平凡で平和な世界で、どこにでもいるような人物によって、まったく唐突に起きたのです。

これほど恐ろしいことがあるでしょうか。

白黒の世界で繰り広げられる惨劇は、静かなる叫びとなって悲しみを誘います。

ただ、最初にも書きましたが、モノクロの画面にするとすべてが美しいものになってしまう。

犯人の俳優さん(灼熱・・にも出てましたね)も端正な顔立ちなのでヒーローのような雰囲気も漂うのが、私としては受け入れがたかった。

ラストで一命をとりとめた女子学生が「男の子が生まれたなら愛を教え、女の子なら世界に羽ばたけと教えます」と出す当てのない手紙に書き記します。これがこの映画のテーマだとしたら・・

ただ殺戮を憎むだけでなく愛をもって受け止めなさい、と行間から聞こえてくるのですが、

これこそが多くの人が感じるこの作品への違和感なのだろうと思います。

何にしても殺人は美しくなんかありません。ヴィルヌーブ監督、若さですね。