1999年 スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演。原題:Saving Private Ryan。やさしそうな邦題ですが、とても残酷な戦争映画でした。

あらすじ

1944年。連合軍はフランスのノルマンディー海岸に上陸するが、多くの兵士たちが命を落とした。

激戦を生き延びたミラー大尉(トム・ハンクス)は、最前線で行方不明になった落下傘兵ジェームズ・ライアン二等兵(マット・デイモン)の救出を命じられる。

ライアン家は4人の息子のうち3人が相次いで戦死しており、軍上層部は末っ子のジェームズだけでも故郷の母親の元へ帰還させようと考えたのだ。

ミラー大尉と彼が選んだ7人の兵士たちは、1人を救うために8人の命が危険にさらされることに疑問を抱きながらも戦場へと向かうが……。

感想

ノルマンディー上陸作戦、通称「D-DAY」。第二次世界大戦においての連合軍のもっとも重要な作戦です。

フランスのノルマンディーの浜に上陸する連合軍。おもにアメリカ兵が上陸用舟艇に乗って上陸していきます。

そこへ持ち構えていたドイツ軍の容赦ない砲撃。またたく間にビーチは血の海になっていきます・・

これはフィクションではなく事実。映画はことさらに残虐さを強調しているのではなく、まったく事実を映像化しているのです。

そんな中ようやく上陸したミラー大尉は、3人の兄を戦闘で亡くしたライアンを救出するよう命令されます。

ライアンのモデルになった人物は本当にいたようですが、このように救出隊が組織されたという事実はなく、大戦争のさなか、こんな悠長なことが実行されるはずはないのですが、

軍の上層部の意向で、という説明もあり、ストーリーとしてはなかなか面白い設定です。

ライアン役のマット・ディモンが若くみずみずしく、がれきの中で兄の話をするくだりでは涙が出ました。

クライマックスの戦闘シーンのあとのラストにかけての展開。きっといろんな意見があると思いますが、戦争の恐ろしさ・悲惨さは十分に伝わりました。

この映画は絶賛され、アカデミー賞など多くの賞を受賞しましたが、その反面、残酷すぎるという意見もありました。

「戦争」の表現がオブラートにつつまれたものでなく直接的だったことと、監督がスピルバーグで、しかも主演があの大スターのトム・ハンクスだったので、いろんな意味で影響力は大でした。

かの有名な大作戦の「D-DAY」の真実はこうだったんだと、全世界の人が知る瞬間だったのです。

いかなる理由があってもこういうことが繰り返されてはなりません。このような反戦映画を作り続けていただくことは私たちの変わらぬ願いです。